2021年10月23日【富士S】終了時点までのデータをもとに、ワグネリアンの好走パターンを分析。

ワグネリアンの距離適性

ワグネリアンはこれまでに、芝1800m~2400mの距離に使われてきた。

各距離の着度数は次の通り;

  • 芝1600m(0-0-0-1)
  • 芝1800m(2-0-0-0)
  • 芝2000m(1-1-1-5)
  • 芝2200m(0-0-0-2)
  • 芝2400m(2-0-1-0)

一見して、2000mの距離が一番不安定のような印象を受けるが、内容はどうか?

芝1600m

やや忙しいだろう。

芝1800m

「野地菊賞(2歳オープン)」で0.4差をつけて勝ち、「東京スポーツ杯2歳S(G3)」では0.5差をつけて圧勝した。

まあ、文句のつけようがない内容で適正は十分

芝2000m

この距離で勝っているのは、超スローペースの「新馬戦」のみ。

あとは;

  • 弥生賞(G2)2着 2.01.2(0.2差)中山
  • 皐月賞(G1)7着 2.01.6(0.8差)中山
  • 大阪杯(G1)3着 2.01.1(0.1差)阪神(内)
  • 天皇賞(秋)(G1)4着 1.56.8(0.6差)東京 ※
  • 大阪杯(G1)5着 1.58.8(0.4差)阪神(内)
  • 大阪杯(G1)12着 2.05.2(3.6差)阪神(内)

ここで適性を云々する前に、次の次、距離芝2400mを見てみる。

(※天皇賞(秋)での敗因については「近走診断」で詳述)

芝2200m

2200mはどうしても内回りコースになりやすいので、勝ち切れないのか?

芝2400m

「日本ダービー(G1)」を制して、菊花賞トライアルの「神戸新聞杯(G1)」にも勝っている。適正は十分

ではここで、勝った2鞍のレースの詳細を記してみる。

  • 日本ダービー(G1)1着 2.23.6(0.1差)東京
  • 神戸新聞杯(G2)1着 2.25.6(0.1差)阪神(外回り)

芝2000mと比較して、一目で分かる違いと言えば、内回りと外回り

各コースの直線の距離を比べてみる。

  • 中山2000m:310m
  • 阪神2000m:357m(内回り)
  • 東京2400m:526m
  • 阪神2400m:474m(外回り)

ちなみに、阪神1800mは外回りなので直線距離は474m。

東京1800mも、東京には内外がないので526m。

つまりワグネリアンは、直線が長いコースでは力を発揮できるが、直線が短いコースでは力を十分に発揮できないことが多い。

この原因は、皐月賞の前に陣営が発した「エンジンのかかりが遅い」というコメントに如実に反映されている。

それでも「大阪杯(G1)」では0.1差の3着に来ているのだから、その差は僅かなものなのだとは思うが、その僅かな差が、頂上決戦では勝敗を決する。

話を戻す。

これらのことからワグネリアンは、芝2000mに適性がないのではなく、芝2000mが行われた競馬場(コース)に適性がなかったと考えるのが一番腑に落ちる。

ワグネリアンの脚質

ワグネリアンの好走時の脚質は、「先行」もしくは「中団からの差し」。

基本的には好位抜け出し

ワグネリアンのコース適正

ワグネリアンの競馬場ごとの着度数は次の通り;

  • 札幌(0-0-0-1)
  • 函館(未)
  • 福島(未)
  • 新潟(未)
  • 東京(2-0-1-2)
  • 中山(0-1-0-1)
  • 中京(1-0-0-0)
  • 京都(未)
  • 阪神(2-0-1-4)
  • 小倉(未)

東京コース、阪神の外回りコースとは相性が良い。

阪神コースは:

  • 内回り(0-0-1-4)
  • 外回り(2-0-0-0)

コース適正に関しては、「距離適性」の項で詳しく記した。

ワグネリアンの持ち時計(ベストタイム)

ワグネリアンの各距離ごとのベストタイムは次の通り;

  • 芝1600m:1.33.8 6着(0.6差・東京)
  • 芝1800m:1.46.6 1着(-0.5差・東京)
  • 芝2000m:1.56.8 5着(0.6差・東京)
  • 芝2200m:2.11.1 5着(0.7差・阪神)
  • 芝2400m:2.23.6 1着(-0.1差・東京)

芝1800mは2歳の時の1.46.6はかなり速い。

芝2400mもダービーの走破時計としては速い方だ。

芝2000mに関しては、2019年の「天皇賞(秋)」での時計で、それなりに速い時計で、2着のダノンプレミアムとは0.1差。

しかし勝ったアーモンドアイがレコードの1.56.2を出している以上仕方がない。

ワグネリアンの重馬場適正

  • 稍重(0-0-0-2)
  • 重(1-0-1-1)
  • 不良(未)

ワグネリアンは2歳時「野地菊S」と2019年の「ジャパンカップ」で重馬場を経験しているが、レース結果はそれぞれ1着と3着。

「野地菊S」のレース後も鞍上の福永騎手は「緩い馬場を気にすることはなかった」という旨のコメントを出している。

道悪競馬は基本的には問題はない。


ワグネリアンの鉄砲実績(休み明け)

ワグネリアンの10週(中9週)以上の休み明けでの成績は;

  • 10週以上(1-1-1-6)

叩いてからは;

  • 2戦目(0-0-1-2)
  • 3戦目(1-0-0-0)
  • 4戦目(未)
  • 5戦目~(未)

ワグネリアンの枠順適正

ワグネリアンの枠番別着度数は;

  • 1~4番(3-0-2-2)
  • 5~9番(1-1-0-3)
  • 10~14番(0-0-0-3)
  • 15~18番(1-0-0-0)

ワグネリアンの季節別着度数

  • 12~2月(冬):(0-0-0-1)
  • 3~5月(春):(1-1-1-3)
  • 6~8月(夏):(1-0-0-2)
  • 9~11月(秋):(3-0-1-2)

ワグネリアンの斤量別着度数

  • 54キロ(2-0-0-0)
  • 55キロ(1-0-0-0)
  • 56キロ(1-1-0-0)
  • 57キロ(1-0-2-6)
  • 58キロ(0-0-0-2)

ワグネリアンの好走体重

3着以内の体重は;

  • 450~468キロ

ワグネリアンの血統背景

父はディープインパクト(サンデー系/牡馬三冠、春天、宝塚記念、ジャパンカップ、有馬記念)。

母の父はキングカメハメハ(ミスプロ系キングマンボ/NHKマイルC,日本ダービー)。

ワグネリアンの近走

18/5/27 日本ダービー(G1)東京芝2400m

着順:1着(0.1差)騎手:福永祐一(57キロ)

スタートから先団につけて、直線では残り100mを過ぎてようやく先頭、あとは押し切ってゴール。

残り100mでスピードがMAXに達したか。

18/9/23 神戸新聞杯(G2)阪神芝2400m

着順:1着(0.1差)騎手:藤岡康太(56キロ)

後方から中団へと競馬を進めて、直線ではきっちり差し切った。

直線が長いときっちり届く。

19/3/31 大阪杯(G1)阪神芝2000m

着順:3着(0.1差)騎手:福永祐一(57キロ)

中団からの競馬。

着差は0.1差だが、やはり内回りではこれが精一杯になる。

19/8/18 札幌記念(G2)札幌芝2000m

着順:4着(0.2差)騎手:福永祐一(57キロ)

積極的な競馬を見せてはいるが、やはり小回りはあまりよくない。

両前を落鉄していたとのことで、その影響もあっただろう。

次走は「天皇賞・秋」のようだが、これまでの内回りでの芝2000mとは、切り離して考えるべき。

東京の直線なら十分に力が発揮できそう。

19/10/27 天皇賞(秋)(G1)

東京 芝2000m 良

着順:5着(0.6差)騎手:福永祐一(58キロ)

外目の14番ゲートの影響もあったか、位置取りがいつもより後ろになってしまった。

それでも最後の直線では2着のダノンプレミアムに0.1差まで迫る脚は見せている。

もう少し内目の枠なら、アーモンドアイには敵わないだろうが、2着争いは可能だったかもしれない。

19/11/24 ジャパンカップ(G1)

東京 芝2400m 重 15頭

着順:3着(2.26.2・0.3差)

騎手:川田将雅(57キロ)

道中は大きな先団の中ほど6番手あたりにポジションを取る。

重馬場にしてはそこそこペースは流れ、前半1000m通過が60.3秒。

ワグネリアンは4角では少し順位を下げて8番手くらいで直線に入る。

直線は馬場の中ほどをジワジワと伸びて3着。

4角での位置取りの差がそのまま着差に反映された。

レースの上りは37.2秒の消耗戦。

消耗戦ならまだまだ力があるところは示した。

20/4/5 大阪杯(G1)

阪神 芝2000m(内)12頭

着順:5着(1.58.8・0.4差)

騎手:福永祐一(57キロ)

4番ゲートから中団あたりの5番手の内で追走。

3~4角では各馬が進出する中、内に閉じ込められて身動きできず4角は8番手で直線。

直線では内から加速して行くが、前も止まらず5着まで。

道中の位置取りがもう一列前ならまた違ったかも。

2020年 大阪杯(G1)のラップ分析&回顧

20/6/28 宝塚記念(G1)

阪神 芝2200m(内)稍重

着順:13着(2.16.8・3.3差)

騎手:福永祐一(58キロ)

4枠7番から2番手につける積極策。

しかし逃げたトーセンスーリヤのラップは決して緩くはなく、4角2番手で直線に向くが、直線では坂下で一杯。

締まった流れの前々とは言え、これはちょっと止まりすぎ。

2020年 宝塚記念(G1)のラップ分析&回顧

手術

前走後、喉の手術(ノド鳴り)を受けた様子。

21/2/14 京都記念(G2)

阪神 芝2200m(内)

着順:5着(0.7差)

騎手:武豊(57キロ)

道中は後方9番手で、勝負どころで順位を上げて、4角は6番手で直線に向くが、良い脚は出せずに5着まで。

後方に構えて、終いの伸びもイマイチ。

やはり手術明けの影響はあっただろうが、コースや展開も今回は向かなかったのだろう。

2021年 京都記念(G2)のラップ分析&回顧

21/4/4 大阪杯(G1)

阪神 芝2000m(内)重

着順:12着(2.05.2・3.6差)

騎手:吉田隼人(57キロ)

5枠6番から出して行って道中は3番手。

しかし3角過ぎでは早くも手応えが怪しく、4角は6番手で直線。

案の定直線では終いの脚は残っておらず、ズルズルと後退して12着。

道悪は走る馬だけに、ちょっと敗けすぎの感はあるが、手術しから2戦目、ちょっとコンディションがタフすぎたか?

2021年 大阪杯(G1)のラップ分析&回顧

21/10/23 富士S(G2)

東京 芝1600m 良

着順:6着(1.33.8・0.6差)

騎手:福永祐一(57キロ)

道中は中団の後ろ、11番手。

4角も11番手の外目を回って直線。

直線は馬群の外目を追い上げてはくるが、0.6差の6着まで。

やはり千六の流れではポジションが取り辛かったのか?

最後の直線ではそれなりに脚は見せている。

初めての距離にしてはまずまずの出来か?

2021年 富士S(G2)のラップ分析&回顧

次走、ジャパンカップ(G1)に向けて

次走は11月28日(日)、東京競馬場 芝2400m で行われる「ジャパンカップ(G1)」。

前走で千六を使っているのが少し気持ち悪い。

東京コースとは相性が良いだけに、これが「刺激策」だとすると、予想外の激走を見せる可能性も・・・。

 

⇒その他、2021・ジャパンカップ(G1)の出走馬を分析